食や生活様式の多様性に伴い「○○フリー」「フリーフロム」といった商品をよく見かけるようになりました。グルテンフリーはその代表例ですが、実はほかにもたくさんあります。
こういった「○○フリー」や「フリーフロム」はヴィーガンや食事制限がある人に限ったものではなく、健康意識の高まりにより広がった言葉です。常識の1つと言っても過言ではありません。
そこで今回は「○○フリー」「フリーフロム」について解説します。今知っておくべき、むしろ知らないと恥ずかしい○○フリーを5つピックアップしてみました。あなたはいくつ知っていますか?
グルテンフリーを皮切りに続々登場!「○○フリー(フリーフロム)」とは
「○○フリー(○○free)」とは「〜がない」という意味の英語です。グルテンフリーなら「グルテンがない(グルテンを含まない)」ということですね。このように「○○フリー」と謳われている食品を「フリーフロム食品」と呼びます。
もともとグルテンフリーは、小麦アレルギーの人や「セリアック病」患者向けに生まれた概念でした。セリアック病とは、小麦に含まれるたんぱく質「グルテン」が原因となり、自身の腸を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種です。
このグルテンフリーを皮切りに○○フリーという他の言葉も続々と登場し始めたのです。
もちろんフリーフロムは、食品だけに限ったものではありません。たとえば化粧品なら「アルコールフリー」や「ケミカルフリー」のような表記もよく見かけます。
○○フリー/フリーフロム食品流行の理由
先進国を中心に、○○フリーやフリーフロム食品の需要が増加しています。理由としては、特定の食品に対するアレルギーを抱える人の割合が、発展途上国に比べて多いからです。しかし次第にアレルギーを持たない人たちであっても、健康や美容の観点から○○フリーやフリーフロム食品を選択する傾向が高まってきました。
ベジタリアンやヴィーガンといったライフスタイルも広がりを見せています。食事制限が必要な彼らにとっても、フリーフロム食品は重要な存在です。
サプリメントに代表されるように、これまでは「足りない栄養を補う」考え方が一般的でした。しかし近年では「自分の体に合わないものは食べない」という考え方も広まってきています。「この食べ物は好きなんだけど、なんとなく調子が悪くなる」といった経験はありませんか?体質や年齢の変化により、自分の体に合うもの/合わないものも変わっていきます。こうしたことからも、フリーフロム食品が人気を集めていると言えるでしょう。
○○フリー/フリーフロムの具体例5つ
ここからは、グルテンフリー以外の○○フリーやフリーフロムについて、全部で5つ紹介します。どれも知っておかないと恥ずかしいものばかりですよ。
ミートフリー(Meat-free)
ミートフリーとはその名の通り「肉を使わない(食べない)」ということです。畜産業が環境破壊に与える影響は大きく、また動物愛護の観点からも肉類の消費を控えようという風潮が広まりました。
元ビートルズのポール・マッカートニー氏が提唱している活動に「ミートフリーマンデー」というものがあります。 これは「週1回、月曜日だけでも肉を食べないようにしよう」というもので、2009年に始まりました。
いきなりヴィーガンやベジタリアンになるのは抵抗があっても、これなら実践できそうですね。
デイリーフリー(Dairy-free)
デイリーは「乳製品」の意味なので、デイリーフリーは「乳製品不使用」ということです。牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品を使用していない食品を指します。
具体的には、豆乳やアーモンドミルク・オーツミルク・ライスミルクといった牛乳代替品や、牛乳を使わず大豆から作ったヨーグルト、ココナッツミルクから作ったチーズなどがデイリーフリーに該当します。
なお、乳製品に含まれる成分は以下の2つがあり、それぞれフリーフロム食品として販売されています。
カゼインフリー(Casein-free)
カゼインは、乳製品に含まれる動物性たんぱく質のことです。カゼインは酸で固まる性質があるため、この特徴を利用して作られる乳製品がヨーグルトやチーズです。
カゼインには大きく分けて、αカゼイン・βカゼイン・κカゼインの3種類が存在します。この中で人が消化しやすいのはβカゼイン(母乳に含まれる)だけです。牛乳の約80%はαカゼインのためうまく消化できず、消化不良を起こしやすいと言われています。未消化のまま腸内に残ってしまったカゼインは腸壁を傷つけ、腸の炎症を引き起こしてしまうことがあります。
カゼインを分解する過程で生成される「カソモルフィン」という物質が、ある種麻薬のような働きをすることも明らかになってきました。児童の発達に悪影響を及ぼすことから、警鐘が鳴らされています。
グルテンフリーやカゼインフリーの食事療法を実践したところ、自閉症スペクトラム障害をもつ子どもの発達が改善したとの研究もあります。
参照:熊本大学 本吉研究室
ラクトースフリー(Lactose-free)
乳製品に含まれるもう1つの成分がラクトースです。ラクトースは乳製品中の糖分のことで、日本語では乳糖と呼ばれます。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう人はいませんか?このラクトースがうまく分解できずに、下痢や腹痛などの症状を引き起こす人もいます。日本人にも多く、乳糖不耐症と呼ばれています。
GMOフリー(GMO-free)
GMOフリーとは「遺伝子組み換えではない」という意味です。「Genetically modified organism(遺伝子組み換え)」の頭文字をとってGMOと呼んでいます。
トウモロコシや大豆からできた食品パッケージの裏面を見てみると「遺伝子組み換えでない」と書かれていることが多いです。気になる人はチェックしてみてください。
遺伝子組み換えとは、作物から優秀な遺伝子のみを取り出し、その遺伝子を別の作物の遺伝子に組み込んでさらに優れた種を開発することです。これにより、病害虫や農薬に強い作物ができます。
大量の農薬を散布しても枯れず、害虫も寄り付かないため農家の間で重宝されてきました。一方で、安全性が検証されておらず問題となっています。
ギルトフリー/ギルティーフリー(Guilt-free/Guilty-free)
Guilt(ギルト)は「罪悪感」、Guilty(ギルティー)は「罪悪感のある」という意味の英語です。それがフリーなので、つまり「罪悪感のない」という意味になります。
「ダイエット中にも甘いものが食べたい!」と感じる人は多いでしょう。しかしいざカロリーの高いケーキを食べてしまったら、罪悪感でいっぱいになるのではないでしょうか?
このギルトフリー/ギルティーフリーは、そんな人たちのために生まれました。よくコンビニなどでも目にするのが「ギルティフリースイーツ」ですね。糖質やカロリーが抑えられており、スイーツなのに食べても罪悪感を抱かないことから人気を集めています。
クルエルティフリー(Cruelty-free)
Cruelty(クルエルティ)は「残虐性」という意味をもつ英語です。「残酷な、非情な」という意味のCruelの名詞形です。
私たちがふだん使う服飾品や化粧品、日用品の開発・製造過程においては、残念ながら動物実験が行われていたり、そもそも原料に動物が使われていたりすることがあります。このクルエルティフリーは、ヴィーガンの普及とともに生まれた言葉です。ヴィーガンは、動物由来の成分を摂取しないことを目指す概念でした。クルエルティフリーは、食事だけでなく私たちの身の回りの製品においても、動物の犠牲をなくそうというものです。
クルエルティフリーの甲斐あってか、そういえばこのところ、ラビットファー付きのコートはあまり見かけなくなりましたよね。
まとめ
今回はグルテンフリー以外に「これだけは知っておきたい」という○○フリー/フリーフロムについて紹介しました。
ほかにもソイフリー(大豆不使用)やエッグフリー(卵不使用)、シュガーフリー(砂糖不使用)、カフェインフリー(カフェイン不使用 *カフェインレスとも言う)、トランスファットフリー(トランス脂肪酸不使用)など、挙げればキリがありません。
きっとこれからも、新しい○○フリー/フリーフロムが次々と登場してくることでしょう。また機会があれば記事にしてみたいと思います。お楽しみに!
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