野菜や果物に旬があるように、もちろん魚介類にも旬があります。
旬の魚介類は値段が安価なのはもちろん、栄養価が高いという点からも非常におすすめです。
しかし、年中出回っている養殖された魚介類も多いため、「何」が「いつ」旬を迎えるのかわかりにくいですよね。
そこで今回は、春から夏に旬を迎える魚介類をご紹介します。旬の魚介類を知って、栄養満点の海の幸をお手頃価格で楽しみましょう!
※旬や産地はその年によりズレやばらつきがあります。あくまでも参考としてご覧ください。
目次
春に旬を迎える魚介類
春に旬を迎える魚介類を8種類ご紹介します。
鰆(サワラ)
【旬】3月~5月(関西)
【産地】福井県、石川県、京都府
【おすすめ調理法】刺身、カルパッチョ、塩焼き、ムニエル、フライ、炊き込みご飯
サワラは「春の魚」という漢字を当てることからも、春が旬の魚です。体長は1m以上にもなり、細長く平べったい形をしているのが特徴です。
春にかけて産卵するため、西日本を中心に大量に水揚げされていたこともあり春の季語になったほどです。しかし現在は東日本はもちろん、全国的に多く見られるようになったため、1年を通じて入手可能です。
白身魚のような淡白な味わいで、クセがないためどのような調理にも向いている魚です。
鮮度がいいものはやはり刺身がおすすめ。脂がのっているものは甘みがあり、上品な味わいが楽しめます。
真鯛(マダイ)
【旬】3月~6月
【産地】福岡県、長崎県、愛媛県
【おすすめ調理法】刺身、塩焼き、ちらし寿司、鯛めし、煮つけ、潮汁
「めでたい」魚とされ、お祝い事やハレの席に欠かせないマダイ。食卓に華を咲かせてくれる、存在感のある魚です。
天然鯛は高級魚として人気が高い一方で、養殖も盛んなので1年中出回るようになりました。
マダイはクセがなく、上品な味わいの白身魚です。刺身、塩焼き、煮つけ、鯛めしなど、どんな料理にも合いやすくおいしくいただけます。
新鮮なマダイは澄んだ透明の身と皮の赤色が美しいので、やはり刺身がおすすめ。弾力感があり、噛むごとに甘味が感じられます。
眼張(メバル)
【旬】3月~6月
【産地】青森県、北海道、富山県
【おすすめ調理法】煮つけ、塩焼き、アクアパッツァ
大きく目が張り出している様子から「眼張る(メバル)」と名付けられました。おもに東北~北陸、関東で春告魚とされています。
メバルの体の色には複数あり、色によって赤メバル、黒メバル、白メバルと呼ばれます。
締まった白身で脂肪が少なく、淡白でクセのない上品な魚です。
特に煮つけがおすすめ。小骨が少なく身離れがよいので、魚の骨を取るのが苦手な方にも食べやすい魚です。
和洋問わずさまざまな料理と相性がよく、イタリアンのアクアパッツァでも利用されることの多い魚です。
白子(シラス)
【旬】4月~6月
【産地】兵庫県、愛知県、静岡県、神奈川県
【おすすめ調理法】生食、シラスご飯、ペペロンチーノ、かき揚げ
いろいろな種類の魚の稚魚を総称してシラスと呼びます。主にカタクチイワシの稚魚であることが多いです。
骨などを気にせず丸ごと食べられるので、栄養価が高いです。獲れたての新鮮なものは生でも食べられますし、サッと茹でた「釜揚げシラス」も絶品です。
シラスを干したものは「ちりめんじゃこ」として保存もきくので、いろいろな用途に使えますよ。
アツアツのご飯に乗せて醤油を少したらすだけで、シラスご飯としておいしくいただけます。
シラスはイタリアでもよく食されており、ペペロンチーノやカルボナーラ、ピザなど、レパートリーの幅がきく使い勝手の良い魚といえます。
鰹(カツオ)
【旬】4月~9月
【産地】静岡県、宮城県、高知県、東京都、千葉県
【おすすめ調理法】刺身、たたき、カルパッチョ、酒盗
青背魚の代名詞ともいえるカツオ。体の下にある縞模様が有名ですよね。この縞模様がハッキリと出ており、にじんでいないものが新鮮なカツオの証です。
春に獲れるのは「初ガツオ」で赤身が多く、さっぱりしているのが特徴です。また、秋には「戻りガツオ」も楽しめます。戻りガツオは脂がのっており、初ガツオとはまた違ったおいしさが味わえますよ。
カツオは身がパサつきやすいため、加熱調理には向きません。新鮮なものを刺身やたたきなど生で食べるのがおすすめです。
真鯵(マアジ)
【旬】4月~8月
【産地】福岡県、長崎県、東京都、千葉県
【おすすめ調理法】刺身、たたき、なめろう、塩焼き、アジフライ、南蛮漬け
「光物」として寿司ネタでもよく見かけるマアジは、青背魚としても有名です。「味がいい」として、古くから愛されてきた魚です。
アジ科の魚は日本近海だけで50種以上もいるとされます。一般的に私たちが普段目にするアジは真鯵(マアジ)です。
全国各地に広く生息しており、北海道〜九州までの沿岸域で群れを作って暮らしています。
旬の時期にはスーパーなどで安く売られていることも多いので、日持ちのする南蛮漬けにしてみてはいかがでしょうか。
アサリ・ハマグリ
【旬】3~5月
【産地】
アサリ:愛知県、熊本県、福岡県、三重県、静岡県
ハマグリ:大分県、熊本県、京都府
【おすすめ調理法】椀物、酒蒸、パスタ(ボンゴレ)、炊き込みご飯
春はアサリやハマグリをはじめ、貝類がおいしい季節です。この時期の貝は産卵の時期ということもあり、栄養を蓄えていて身が大きく、とってもミルキーです。
ゴールデンウィークに潮干狩りに出かけた記憶がある方も多いのではないでしょうか。
なおアサリは秋にも産卵するため、旬が2回あります。
ひな祭りにはハマグリのお吸い物が欠かせませんね。しかしアサリもハマグリも、国内漁獲量は年々減少傾向にあり、輸入物に取って代わられてきています。
夏に旬を迎える魚介類
続いて、夏に旬を迎える魚介類を6種類ご紹介します。
鮎(アユ)
【旬】6~7月
【産地】栃木県、茨城県などの清流
【おすすめ調理法】塩焼き
淡水魚として知られるアユ。秋に川で産卵・孵化すると海にくだり、春になるとまた川を遡上します。
泥などの多い場所を嫌い、水のきれいな清流を好む魚です。
海ではプランクトンや小エビなどを食べますが、川に戻ってくると岩などにこびりついた藻(も)がメインのエサになります。そのため、藻を食べるための特殊な歯が生えています。
養殖ものは和歌山県、愛知県、岐阜県などで出荷量が多く、10月ごろまで楽しめます。一方で天然ものの旬は短くかつ非常に高価で、8月になると値が下がってしまうほど。
この背景には、ダムなど人工物の建設による天然アユの遡上の減少があります。そこでアユの稚魚を放流したり、海のアユを人工的に川に戻したりといった取り組みが行われています。
鱚(キス)
【正式名称】白鱚(シロギス)
【旬】6~7月
【産地】千葉県、三重県、兵庫県、愛知県、香川県
【おすすめ調理法】刺身、塩焼き、天ぷら
夏から初秋に産卵期を迎えるキスは、6~7月が最もおいしい時期といわれています。
刺身などの生食はもちろん、塩焼きもおいしくいただけますが、熱を通しても締まらないため、特に天ぷらにするのがおすすめです。
東京では江戸時代から漁獲されている魚で、江戸前の天ぷら種としてなくてはならない魚でした。
美しい白身なので、すまし汁など椀物にするのもおすすめです。脂肪分が少なくヘルシーで、上品な味わいが楽しめる魚です。
料亭や高級割烹、寿司屋でお目にかかることが多い魚でしょう。
真穴子(マアナゴ)
【旬】6~7月
【産地】東京都、茨城県、長崎県、兵庫県、大阪府、島根県、愛知県、福島県、山口県
【おすすめ調理法】天ぷら、フライ、煮穴子、蒲焼き
天ぷらや寿司ネタとして欠かせない存在のマアナゴ。アナゴ科の魚は多く、一般的な穴子といえばこのマアナゴのことです。
関東では煮穴子が、関西では焼き穴子が好まれる傾向にあります。
夜行性で狭い場所を好むため、昼間は管状のものや砂泥地の穴にもぐり込み、身を潜めています。
体はヌルヌルとしており、この粘液と、血液にも毒があります。したがって、生食は基本的におすすめしません。加熱調理していただきましょう。
鱸(スズキ)
【旬】6~8月
【産地】千葉県、東京都、宮城県、兵庫県、福岡県、愛知県、大阪府
【おすすめ調理法】刺身、マリネ、塩焼き、ムニエル、フライ
スズキは成長につれて呼び名が変わる出世魚です。成長に伴い、セイゴ→フッコ(マダカ)→スズキと変化します。かつては高級魚の位置づけでしたが、近年ではスーパーなどでも切り身で販売されていることが増えてきました。比較的安価で、肉厚な白身魚なので、さまざまな料理に利用できます。フレンチやイタリアンで使用されることも多い魚です。
日本各地で水揚げされるものの、鮮度が落ちると独特の臭みが出るものもあります。鮮度のよいスズキの見分け方は、エラの部分が鮮やかな紅色をしているもの、体表面の銀色が輝いているものです。
岩牡蠣(イワガキ)
【旬】7~8月
【産地】秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、鳥取県、千葉県、茨城県、徳島県
【おすすめ調理法】生食、酒蒸し、フライ
岩などにくっ付くことからイワガキという名が付きました。殻の長さは20cmを超えるほど、大きなサイズのカキ。楕円形をしていることが多いですが、付着する岩によって形もさまざまです。
カキ本来の濃厚なうまみを堪能するには、やはり生食が一番でしょう。
ちなみに、カキは他にも真牡蠣(マガキ)という種類がいます。イワガキもマガキも夏に産卵するのですが、イワガキは夏に一番おいしくなるのに対し、マガキの旬は春です。マガキの場合、産卵に向けて蓄えた栄養分が抜けていってしまうため、産卵前の春に食べると良いでしょう。
雲丹(ウニ)
【旬】6~9月
【産地】品種により異なる
【おすすめ調理法】生食、蒸し
ウニ科の生物の種類は非常に多く、150~200種類もいるとされています。食用として私たちが普段口にする部分は、ウニの生殖巣です。
市場に出回るもので夏が旬のウニは「エゾバフンウニ」、「ムラサキウニ」、「アカウニ」などが有名です。
種類により形状や大きさ、生殖巣の色にも違いがあります。
ウニの種類 | 主な産地 | 生殖巣の色 | 特徴 |
---|---|---|---|
エゾバフンウニ | 北海道・東北地方 | 鮮やかなオレンジ色 | 直径6cm前後。棘が短く密集している。 |
ムラサキウニ | 兵庫県、徳島県、三重県 | 黄色~オレンジ色 | 直径5cm前後。黒っぽいが光にさらすと紫色に見える。棘は太く長い。 |
アカウニ | 佐賀県、長崎県 | 黄色 | 5〜7cmほどの大ぶりのウニ。見た目が赤褐色をしている。
平たい形をしており、味は甘みが強く濃厚な味わい。 |
夏の時期のウニは苦みや臭みがなく、濃厚な甘みと滑らかな舌触りが楽しめるので格別です。
まとめ
今回は、普段の生活の中で馴染み深い魚介類にしぼってピックアップしてみました。
養殖が盛んになったことで年中見かけるものも増えましたが、旬の魚をその時期にいただくのはやはり格別。どの魚介類がいつ旬なのかを知っておくと、魚を食べるのがもっと楽しくなりますよ。
続編として「秋から冬に旬を迎える魚介類」も近々リリース予定です。お楽しみに!
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