みなさんは普段スープを食べますか?とくに寒い季節は、温かいスープを食べると体の内側からポカポカとしてきますよね。
今回は、そんなスープの豆知識や種類についてご紹介していきます。スープにもそれぞれ生まれた国や作られたきっかけがあるのです。ちょっとした知識があるだけで、食べることがさらに楽しくなるはずですよ。
これって何が違うの?スープの豆知識
ヨーロッパでは500年以上も前から食べられているというスープ。海外からやってきた食文化ですが、今では日本でも専門店ができたり、たくさんのレシピ本が出たりと人気がありますよね。まずは、そんなスープのちょっとした豆知識をご紹介していきます。意外と知らない小さな疑問を解消していきましょう!
「味噌汁」と「スープ」の違いって?
味噌汁は日本発祥の食べ物。出汁はかつおや煮干し、昆布などでとり、味付けには味噌を使います。一方、スープは西洋発祥の食べ物。出汁は肉や魚、野菜でとり、味付けにはコンソメや生クリームを使います。
味噌汁とスープの大きな違いは出汁のとり方。味噌汁は乾物から出汁をとることが多く、水につけたり煮出してとるのが一般的ですが、スープは肉や魚を長時間煮込んで出汁をとります。
どちらも一から出汁をとるのは、手間と時間がかかりますよね。そこで登場したのが「顆粒だし」や「コンソメキューブ」など、入れるだけで出汁の役割をしてくれるもの。最近ではお湯を入れるだけで作れるインスタントの味噌汁やスープもたくさんありますね。
どちらも具材に決まりはないですが、味噌汁はわかめや豆腐など日本の食材がメイン、スープはチキンやシーフードなど海外でも使われている食材がメインです。また、海外では「スープ=コース料理の前菜」として出されることも多いそうです。
「ブイヨン」と「コンソメ」の違いって?
ブイヨンとは、牛肉や牛骨などに香辛料や香味野菜を加え、じっくり煮込んで旨味を抽出したもの。日本でいう「出汁」のことです。ブイヨンは煮込み料理やリゾット、パエリアなどの出汁としてよく使われます。
コンソメとは、ブイヨンに肉や野菜を加えてさらに煮込み、こして味をつけたもの。透き通ったスープのことです。すでに料理として完成されているコンソメは、スープやロールキャベツなどの味付けそのものとして使われます。
ブイヨンにさらに味をつけたものがコンソメだったのですね。「ブイヨンとコンソメはどちらも同じようなもの」と思っていた方も多かったのではないでしょうか。家庭料理などではあまり登場しないブイヨンですが、出汁の役割をしてくれるので、いつもよりワンランク上の味が楽しめるかもしれません。
「ビスク」と「アメリケーヌ」の違いって?
ビスクとアメリケーヌ、どちらも語源はフランスです。出汁に使うのは「甲殻類」という点も同じ。2つの大きな違いは「ビスク=スープ」「アメリケーヌ=ソース」ということです。
ビスクとはフランス生まれのスープ。エビやカニなどの甲殻類を殻ごと炒め、さらに野菜を加えて煮込み、最後にこしたら完成です。濃厚でクリーミーな味わいが特徴のビスクスープは、一度食べたらやみつきになりますよね。
アメリケーヌとは、主にフランス料理に使われるエビの殻で作ったソースのこと。エビを殻ごと炒め、野菜やトマトピューレを加えて煮込み、こして生クリームを入れたら完成です。ソースとして料理に直接かけて使ったり、パスタやグラタンなどに使ったりもします。
ビスクスープとアメリケーヌソース、どちらも甲殻類を炒めて作るものなので、自分で一から作るのはちょっと難しいですよね。市販でもスープやソースを買うことができるので、ぜひ見てみてください。エビやカニなどを使った料理があると、食卓が一気に華やかになるのではないでしょうか。
こんなにある!スープの種類をご紹介
スープの種類は本当にたくさんありますよね。ここでは、みなさんが一度は耳にしたことのあるスープについて、どこで生まれたのか、どんな国で食べられているのかご紹介していきます。きっと新しい発見もあるはずですので、ぜひ読んでみてくださいね。
コーンポタージュ
コーンの優しい甘さが特徴のコーンポタージュ。寒い日の朝にもぴったりですよね。日本ではお湯を入れるだけのインスタントタイプや自動販売機でもよく見かける人気のスープですが、なんと海外ではほとんど売られていないのです。
「ポタージュ」の語源はフランスですが、フランスにコーンポタージュはありません。ヨーロッパの他の国やアメリカでもコーンポタージュはほとんど見かけないそう。まだはっきりとはわかっていませんが、コーンポタージュは日本発祥であるとの声もあります。
こんなにコーンポタージュが売っているのは「日本だけ」というのは驚きですよね。ちなみに、「コーンポタージュ」はコーンを裏ごしして作ったなめらかなスープ、「コーンスープ」はコーンのつぶつぶも一緒に食べるスープだそうですよ。
オニオングラタンスープ
トロトロの玉ねぎにパンとチーズが入った熱々のスープ。オニオングラタンスープはフランスで生まれた郷土料理です。
玉ねぎの一大産地として有名なのがフランスのリヨンという都市。リヨンは「フランスの美食の都」と呼ばれるほど、おいしいレストランやバルが並ぶ地域です。リヨンでは玉ねぎを使った料理に「リヨネーズ」という名前がついていることが多く、オニオングラタンスープのことも「リヨネーズグラタン」と呼ぶそうです。
もともとはオニオンスープとして食べられていたものが、フランスのパリでグラタンと一体化して「オニオングラタンスープ」になったのだとか。フランスに行く機会があったら、ぜひ本場のオニオングラタンスープを食べてみたいですね。
ミネストローネ
たっぷりの野菜が入ったトマトのスープ。イタリアの家庭料理として生まれたミネストローネは、具材や味付けに細かい決まりはないそうです。日本でいう味噌汁と同じように、「各家庭の味」があるのですね。
イタリア語で「具だくさんの野菜スープ」という意味のミネストローネ。トマトベースの味をイメージする方も多いと思いますが、シンプルに塩・こしょうで味付けしたものやコンソメを使ったものなどその種類は様々です。冷蔵庫の残った野菜を細かく刻んでミネストローネにするのも良さそうですね。
クラムチャウダー
あさりやじゃがいもなどがたっぷり入ったクラムチャウダーは、寒い日に食べれば体の芯から温まりますよね。
アメリカ北東部のニューイングランドという地域で生まれたクラムチャウダー。イギリスからの移民が多く住んでいたニューイングランドでは、寒い冬を乗り切るために、海岸で獲れた貝と野菜を合わせて煮込んだ料理がよく食べられていたそうです。
「チャウダー」の語源はフランス語で「大鍋、煮込み」という意味があります。アメリカではチャウダーを作ってみんなで食べることが娯楽となり、人々の交流の場となっていたのだとか。大きなお鍋にたくさんのクラムチャウダーを作り、みんなで囲んで食べていた様子が思い浮かびますね。
ヴィシソワーズ
じゃがいもの冷たいスープ「ヴィシソワーズ」。もともとはフランスの田舎の家庭料理だったそうです。1917年ごろ、アメリカのニューヨークにある有名ホテル「リッツ・カールトン」のシェフが都会風にアレンジしたのが「ヴィシソワーズ」の始まりといわれています。
フランスにあるヴィシーという町では、じゃがいもと長ネギを使った「パルマンティエ」という温かいスープが食べられていました。この温かいスープを冷製にしたのがヴィシソワーズ。語源はフランス語ですが、ヴィシソワーズはフランスではなくアメリカで生まれた料理だったのですね。
トムヤムクン
タイの伝統料理であるトムヤムクン。語源はタイ語で「トム=煮る」「ヤム=混ぜる」「クン=エビ」という意味があり、エビを使ったスープが一般的です。エビ以外にも鶏を使った「トムヤムガイ」や、魚肉を使った「トムヤムプラー」などがあります。
レモングラスやパクチー、ナンプラー、エシャロットなど、タイ料理ならではの材料がたくさん使われているのが特徴です。トムヤムクンの起源は諸説ありますが、タイのアユタヤという地域で川エビがたくさん獲れたため、エビを使ったスープが生まれたといわれています。
世界三大スープのひとつにもなっているトムヤムクン。お家で作るのはちょっと難しいかもしれませんが、タイ料理専門店などでぜひ食べてみてくださいね。
サンラータン
お酢のきいた酸味のある中国のスープ「サンラータン」。スープに麺を入れた「サンラータン麺」の方が馴染みのある方も多いかもしれません。
中国の四川料理のひとつとして食べられている「サンラータン」ですが、実は「サンラータン麺」の発祥は日本だといわれています。日本の赤坂にある中華レストランで、まかないとしてサンラータンに中華麺をいれて食べていたのが始まりだそうです。
中華料理のお店に必ずある「天津飯」や「中華丼」なども、実は日本発祥の料理。料理のルーツを調べてみると意外な発見があって面白いですね。
参鶏湯(サムゲタン)
鶏肉の中にもち米や高麗人参を詰めて煮込んだスープ「サムゲタン」。韓国の伝統料理で、松の実やなつめ、クコの実などを使った優しい味のスープが特徴です。
健康にいい食材を組み合わせた「薬膳料理」として作られることもあり、代謝アップや胃腸の機能を高めてくれる効果もあるそうです。
鶏肉を丸ごと一匹使ったサムゲタンを家庭で作るのはちょっと難しいので、代わりに手羽元などを使って作ることもできます。高麗人参などを使った本格的なものから、しょうがやにんにくなどを使った簡単なものまで、レシピもたくさんあるのでぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか。
モロヘイヤスープ
モロヘイヤという野菜を知っていますか?夏が旬の葉物野菜で、世界三大美女の一人クレオパトラが、健康と美容のために食べていたともいわれています。
そんな栄養豊富なモロヘイヤを使ったスープの起源はエジプト。エジプトの王様が病で倒れたときに、モロヘイヤスープを飲んで回復したことから「野菜の王様」とも呼ばれています。
細かく刻んだモロヘイヤがたっぷり入ったモロヘイヤスープ。味付けは鶏ガラスープやコンソメ、トマトなど自由にアレンジされているようです。さっぱりしているので、食欲がないときにもおすすめですよ。ぜひ一度食べてみてくださいね。
まとめ
普段なにげなく食べているスープですが、そのひとつひとつに生まれた国やストーリーがあるのですね。
日本の代表は「味噌汁」。海外では「みそスープ」と呼ばれることもありますが、やはり日本で食べる味噌汁が一番ですよね。海外旅行に行ったときには、その国で生まれた料理を食べてみるのも面白いですよ。早く旅行に行けるようになることを願いつつ、お家でスープを作ってみてはいかがでしょうか。
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