夏になると、冷たいジュースやキンキンに冷えたビールを飲む機会が増えますよね。果たしてあなたが飲んでいるその飲み物は、水分補給に適した飲み物でしょうか?夏は熱中症を防ぐためにもこまめな水分補給を心がけたいところですが、飲んだ方が良い飲み物や、逆に避けるべき飲み物もあります。そこで今回は夏におすすめの飲み物や、熱中症対策にも有効な水分補給のポイントについてご紹介します。
目次
夏におすすめの飲み物
ではさっそく、夏に「飲むべき」おすすめの飲み物からご紹介していきましょう。
スポーツドリンク
夏に飛ぶように売れる飲み物といえば、やはりスポーツドリンクですよね。私も子どもの頃はよく飲んだものです。
スポーツドリンクは汗によって体から失われてしまう水分をはじめ、塩分やミネラル、ビタミンなどを手軽にすばやく補給できます。アミノ酸やクエン酸が配合されているものも多いです。
アミノ酸は体内で作ることができないので、食事などから補給する必要があります。アミノ酸は運動をするうえでとても重要な役割を担っています。ハードな運動や長時間の運動によってエネルギー源が不足した際、筋肉中のたんぱく質を分解してアミノ酸からエネルギーを作り出すのです。
運動時にこのアミノ酸を摂取すると、アミノ酸を効率よくエネルギー源として使えるためパフォーマンスの向上にもつながります。また、運動することにより傷ついた筋肉の修復を促してくれます。
スポーツが趣味の方や、アウトドアのイベントなど屋外で活動する際には、スポーツドリンクをうまく利用すると良いでしょう。
スポーツドリンクには2種類ある!「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」
ところで、スポーツドリンクってどれも同じだと思っていませんか?実は「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」の2種類があり、適するシーンが異なります。順番に解説しますね。
◆エネルギー補給が必要なときは「アイソトニック」飲料
「アイソトニック飲料」は、浸透圧が体液と同じになるよう調整されたドリンクで、体内への吸収が速いのが特徴です。糖質も多く含まれているため甘いものが多いです。糖質は体のエネルギー源として素早く吸収されるものだからですね。
猛暑が続くと、夏バテで食事を取る気にならないときもあるでしょう。また、朝食を抜いたときやスポーツの前後など、素早いエネルギー補給を必要とするときに向いています。子供など、エネルギー消費が盛んな人にもおすすめです。ただし糖分が高いので、その点は注意しましょう。特に疲れてもいないときや普段からデスクワークの人などは飲む必要がありません。おいしいからとついつい飲んでしまわないように注意が必要です。
◆素早い水分補給が必要なときは「ハイポトニック」飲料
一方の「ハイポトニック飲料」は、浸透圧が体液よりも低くなるよう調整されたドリンク。浸透圧が低いということは体に吸収されるスピードが非常に速いということになります。つまり、長時間の運動の前後や最中など、素早い水分補給を必要とする場合におすすめです。運動以外にも、大量にアルコールを飲んだ日や外回りの営業中など、体の水分が枯渇している状況にも適しています。
アイソトニック飲料と比べると含まれる塩分や糖質は低め。これは、経口補水液に近い濃度です。水分補給には向いている一方でエネルギー補給にはならないため、運動中や食事の代替品としての摂取には向きません。
運動中はアイソトニック飲料と併用すると良いでしょう。
梅ジュースや紫蘇ジュース
夏に旬を迎える食材と言えば、梅と紫蘇ですよね。この、梅や紫蘇にも夏バテ予防に効果的な成分がたくさん含まれています。
疲労の原因は「乳酸」が体内に蓄積することによるものです。梅に含まれるクエン酸にはこの乳酸の分解を促し、体外に排出する働きがあります。また、糖質の代謝を促す働きもあるため、糖がスムーズにエネルギーに変換されます。これにより、疲労回復はもちろん、疲れにくい体つくりにもつながります。
梅干しなどを見ただけで唾液が出るのは有名な話ですが、これもクエン酸の働きによるもの。夏に食欲がなくなってしまう方も多いと思いますが、クエン酸は唾液の分泌を促して食欲を増進させるだけでなく、消化酵素の分泌をも増やしてくれます。夏に起こりがちな胃腸の不調の予防にもなるでしょう。
一方の紫蘇には高い抗酸化作用や食欲増進作用があります。
食欲がないときでも、紫蘇の爽やかな香りを嗅ぐとなんだか食事が進みますよね。これは紫蘇の香り成分であるペリルアルデヒドによるものです。強い抗菌作用や防腐作用もあるため、まさに夏にぴったりの食材と言えるでしょう。
どちらの食材もビタミンやミネラルを豊富に含むので、これらを使ったドリンクをこまめに飲むと夏をうまく乗り切れそうですね。
ミネラルウォーターや麦茶など
デスクワークがメインの人など、屋内で過ごすことが多く汗をあまりかかない場合は、水やお茶で水分補給をすると良いでしょう。おすすめは麦茶やルイボスティー、黒豆茶、コーン茶など。これらはノンカフェインな上に、汗とともに奪われてしまうミネラルも手軽に補給できます。また、糖質が0なのもうれしいところ。
ただし、緑茶や紅茶など一部のお茶はカフェインを含むものもあります。後述しますが、カフェインを含む飲み物はなるべく避けた方がベターです。購入する際は商品パッケージをよく見て選ぶようにしましょうね。
熱中症の疑いがある場合には
近年の異常気象は深刻で、屋外のみならず屋内でも熱中症になる危険性は十分あります。熱中症が疑われる際は、経口補水液を飲みましょう。
経口補水液は塩分と糖分がバランス良く配合され、水分の吸収に最も適した濃度になるよう設定されています。この塩分と糖分のバランスは多すぎても少なすぎても水分の吸収効率が下がってしまうため、熱中症が疑われる状況下では水やスポーツドリンクでは対処できない場合があります。
ちなみに、経口補水液はご家庭でも簡単に作ることができますよ。作り方をご紹介します。
【材料】
・水 1リットル
・砂糖 40g
・塩 3g
これら3つの材料をよく混ぜるだけでできあがり。もしものときのために覚えておくと良いですね。
熱中症は「いつ」「誰にでも」起こりうる可能性がある
熱中症は「真夏に起こる」と思われがちですが、実は、梅雨明けから熱中症にかかる人が増えてきます。前述の通り屋内でも発症するケースも多く、病院に運ばれる人の約40%が室内で熱中症を発症したとの報告もあります。
「気温28度、湿度60%」を超えると熱中症のリスクが高まるため、いつ、どこで、誰に起こってもおかしくありません。「自分は大丈夫」などと過信せず、十分注意するようにしましょう。
また、コロナ禍で今や当たり前になりつつあるマスクの着用ですが、喉の渇きを感じにくくしてしまいます。さらに、口元にこもった熱気がうまく空気中に排出されず、熱の放出がうまく機能しないことも考えられますので、より一層気を付けて過ごすようにしてください。
夏は積極的に飲むべき「ではない」飲み物
夏におすすめの飲み物をいくつかご紹介しましたが、一方であまりおすすめできない飲み物もあります。それどころか、せっかく補給した水分の排出を促してしまうものもあるので、ぜひチェックしておいてください。
カフェインを多く含む飲み物
まずはカフェインを含む飲み物です。カフェインには利尿作用があるため、せっかく水分補給をしても体外に排出されやすくなってしまいます。これでは本末転倒ですね。コーヒーや紅茶をはじめ、緑茶にもカフェインが含まれています。
とはいえ、食後のコーヒータイムや仕事の合間など、これらの飲み物を飲みたくなる方もいるでしょう。そんなときは、意識してこまめに水も飲むようにすると良いですよ。
糖分の多いジュースなどの清涼飲料水
冷えたジュースや、さっぱりとしたテイストの清涼飲料水を飲みたくなることも多いでしょう。飲んでいるときはさほど感じませんが、実はこれらの飲み物には大量の糖分が含まれており、知らず知らずのうちに糖分の摂りすぎを招いてしまいます。
糖分を分解しエネルギーに変換するためには、ビタミン(特にB群)が必要なのですが、これらは水溶性のため発汗とともに体外へ排出されていってしまいます。つまり、過剰摂取した糖分だけが体内に残り、うまくエネルギー変換されないため、疲労感の原因となってしまうのです。
アルコール
夏はキンキンに冷えたビールが恋しくなりますよね。毎晩のお風呂上りの楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、カフェインと同じくアルコールにも利尿作用があります。お酒を飲むときは、同じ量の水をいっしょに飲むよう意識しましょう。楽しい飲み会の場ではわざわざお冷を頼むのはもったいない気もしてしまいますが、自分の健康のためにも夏は特に意識しましょう。
また、アルコールの中でも、特にビールは糖質量が多いです。前述の通り糖分の過剰摂取は疲れの元。「1日〇杯まで」といったルールを作り、勢いに任せて飲んでしまわないよう気をつけることが大切です。
夏の水分補給のコツ
飲んだ方が良い飲み物とそうでない飲み物がわかったところで、水分補給のコツについて確認しましょう。
汗をかく屋外での活動時にはスポーツドリンクをお供に
汗はその99%以上が水ですが、その残り1%にナトリウムなどの電解質(イオン)をはじめとしたミネラル類、そして水溶性のビタミンなども含まれています。運動などで大量に汗をかくとこれらの栄養素も一緒に体外に流出されてしまうため、体液に近いスポーツドリンク(状況に応じてアイソトニック飲料やハイポトニック飲料を選択しましょう)があると安心ですね。
1日あたり1,500~2,000mlの水分をこまめにとる
ヒトの体のほとんどは水。成人男性なら体の約60%が水分です。私たちの体からは、1日に約1,200mlもの水分が失われていきます。喉が渇いてからの水分補給では実は遅く、この時点で体が脱水に近い状態になっていることもあります。喉が渇く前に水分をとる習慣をつけましょう。
1日あたり1,500~2,000mlの水分摂取量が目安です。一度にたくさんではなく、こまめに飲むように心がけてくださいね。
まとめ
本日のまとめとして、以下のポイントを再度おさらいしましょう。
・スポーツや屋外での活動時にはスポーツドリンクを
・その際はアイソトニック飲料とハイポトニック飲料をうまく飲み分ける
・汗とともに失われてしまうビタミンやミネラルを含む飲み物がおすすめ
・デスクワークや汗をかかない環境下では、ミネラルウォーターやお茶類で十分
・カフェインを含む飲み物やアルコールには利尿作用があるため適度な摂取を
・ジュースなどは想像以上に糖質が多いため注意する
・水分補給はこまめに行い、1日1,500〜2,000mlを目安に飲む
この記事を読んでくださったみなさんが、暑さに負けず夏を元気に乗り切るお役に立てれば幸いです。
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