最近「フルボ酸」という言葉が書かれている商品を目にしたことはありませんか?
さまざまな部分への美容・健康効果があるなど、ネット上にはあらゆる情報があふれています。
「どんな成分なの?」
「本当に効果ある?」
「なんだか怪しくない?」
と、疑問に感じている人もいるでしょう。
この記事では、そんな疑問についてわかりやすくまとめています。最後まで読めば、以下のようなことがわかりますよ。
- フルボ酸とはどのようなものなのか
- フルボ酸のもつ健康効果は具体的に何なのか
- 怪しい商材にだまされないようにするにはどうしたらいいのか
ぜひ最後までご覧ください。
目次
フルボ酸とは
フルボ酸とはもともと自然界に存在する物質の一つで、クエン酸や酢酸などと同じ有機酸の仲間です。植物にミネラルなどの栄養素を供給したり土壌の水分を保持したりと、植物の生育において重要な役割を担っています。
フルボ酸のもつ効果の中で特筆すべきは「キレート」と呼ばれる効果です。キレートとは、ギリシャ語で「カニのハサミ」という意味。吸収されにくい養分をカットして吸収されやすい形に変えたり、反対に有害物質をつかんで排出したりしてくれます。
フルボ酸は分子量が小さいので、体内吸収や経皮吸収にも優れています。このフルボ酸が人体に対しても高い健康効果があることが、近年の研究でわかってきました。
フルボ酸の種類
フルボ酸には天然由来のものと、人工的に作ったものがあります。その違いを比較してみましょう。
天然のフルボ酸
天然由来のフルボ酸は、自然界で微量にしか生産されない貴重な資源です。
通常、天然のフルボ酸は腐植土層に多く存在しています。腐植土層とは、枯れ木や枯草、動物の死骸や排泄物などが微生物によって分解されて土状になったものです。
腐植土層は長い年月をかけて土壌に蓄積され、自然界では1cm形成するのになんと100年もの時間を要します。そのため、天然のフルボ酸は非常に希少価値が高いです。
人工的につくったフルボ酸
植物などを発酵させ自然界の腐植化のプロセスを再現することで、人工的にフルボ酸を作ることもできます。
私たちが生活の中で目にするものだと、シャンプーや化粧品、飲料などにこの人工的なフルボ酸が利用されています。「フルボ酸配合」などと宣伝されていることが多いです。
気をつけなければならないのは、二つとして同じフルボ酸は存在しないということ。人工的につくられたフルボ酸は製造元によって、フルボ酸の含有量やミネラルの有無などがまったく異なります。
フルボ酸と混同しやすい成分や用語
フルボ酸とよく間違われる成分や、本来存在しない言葉も巷にはあふれています。ここでは、特に混同しやすいものを全部で3つ紹介します。
フミン酸
1つ目は「フミン酸」です。フルボ酸とフミン酸はどちらも腐植物質といわれ、植物の分解によってつくられます。
以下にその違いをまとめました。
フルボ酸 | フミン酸 | |
---|---|---|
分子のサイズ | 小さい | 大きい |
キレート力 | 強い | 弱い |
性質 | アルカリ溶液にも酸性の溶液にも溶ける | アルカリ溶液には溶けるが酸性の溶液には溶けない |
希少価値 | 非常に高い | 低い |
フミン酸はフルボ酸に近しいものではありますが、その能力には雲泥の差があることがわかります。
フルボ酸エキス
次に「フルボ酸エキス」です。商品に「フルボ酸エキス配合」などと記載して、フルボ酸配合であることを謳っている消費財がありますが、そもそもフルボ酸には「エキス」が存在しません。
記載の成分に関して補足説明がないような商品は、フルボ酸の効果はほぼ0と思っていた方がよいでしょう。
フムスエキス
最後は「フムスエキス」です。フムスエキスは海洋性完熟土という土から抽出したエキスで、土壌からの抽出物全般を指す言葉です。
ビタミンやアミノ酸、ミネラル、フルボ酸をはじめとして、栄養分を多く含んでいますが、フルボ酸の含有量に関しては特段定められていません。
フルボ酸の人体への健康効果
では、フルボ酸が人体に与える健康効果にはどのようなものがあるでしょうか?
もともとフルボ酸は自然界に存在しているものです。そこでまず、このフルボ酸が土壌にもたらす効果を確認してみましょう。
- バクテリアなど微生物の働きを活発にし、土の状態を良好に保つ
- pHの変動を抑え、安定させる
- 保水力や保肥力が向上し、植物が効率よく水分や肥料を吸収できる
- 動物の死骸や排泄物など、臭いの元となる分子をつかんで嫌な臭いを軽減する
- 連作障害を少なくする
- 植物の成長に必要なミネラルを、根が吸収しやすい状態にする
これらのフルボ酸の効果をふまえた上で、期待できる健康効果について見ていきましょう。
体内ミネラルのバランスを調整
まず、フルボ酸には体のすみずみまでミネラルを運び、かつ過剰なミネラルは体外へ排出するという作用があります。これはフルボ酸のもつキレートという力によるものです。ミネラルを補給するというと、サプリメントによる摂取が思い浮かぶ方もいるでしょう。しかしフルボ酸によるミネラル吸収力は、サプリメントの比ではありません。実はサプリメントに使われているミネラルは、そのほとんどが排出されてしまいます。一方で、フルボ酸がキレートしたミネラルの体内吸収率はなんと95%前後とも言われています。これは驚異的なミネラル吸収率です。
アンチエイジング
次に、フルボ酸には活性酸素を分解・除去する効果も期待されています。
活性酸素は私たちの体に存在しているものですが、増えてしまうと細胞を傷つけ、老化の原因となります。フルボ酸が過剰な活性酸素を除去するため、アンチエイジング効果があるとして注目されています。
美肌効果
フルボ酸は前述の通り、土壌のpHを安定させる効果があります。同様に、肌のpHを弱酸性に整えるという効果もあります。pHとは、水素イオン濃度指数のことです。このpHが少ないと酸性に傾き、多いとアルカリ性に傾きます。
健康的な肌のpHは4.5~6.0の弱酸性です。このpHバランスが乱れてしまうと、肌のバリア機能が乱れ、結果として乾燥やニキビ、痒みや赤みなどの肌トラブルを引き起こす原因の1つになります。
整腸作用
フルボ酸の健康効果の4つ目として、整腸作用が挙げられます。
フルボ酸のもつキレート効果によって、栄養分が十分に吸収されると同時に、余剰で不必要な栄養分はデトックスされます。これにより腸内環境が整い、細胞が活性化されるのです。フルボ酸自体に病気そのものを駆逐する能力はありません。しかし、良好な腸内環境を維持することで自然治癒力が促進されます。病原体をいち早く駆逐したり、症状を抑え込んだりと、健康な体を手に入れることに寄与するでしょう。
フルボ酸製品を購入する際の注意点
フルボ酸がいかに優れたものであるかは、おわかりいただけたと思います。ただし気をつけなければいけないのは、フルボ酸に関する研究はまだまだ不十分であるということです。
「美容や健康にいい」「希少価値が高い」ということで、過剰な効果や効能を謳ったフルボ酸商品もネット上にあふれかえっています。
フルボ酸関連商品を購入する際は、根拠となるデータが明記されているか、信頼できる製造元かどうかを確認し、納得した上で購入するようにしてください。
まとめ
キレート効果によるミネラルの運搬やデトックス、アンチエイジングなど、さまざまな可能性を秘めたフルボ酸。
まだまだ治験データが乏しく、人体へどのような副作用が出るかははっきりしてません。しかし研究が進めば、私たちの健康と切っても切れない存在となりえることは確かです。
そんな段階でも、フルボ酸の効果を謳う商品が一般に出回っているのが現状です。フルボ酸に限らず、信頼できるデータがそろうまでは、広告や口コミを信じて安易に手を出さないようにする消費者側の姿勢も大切ですね。
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