ここ最近「ビオワイン」「オーガニックワイン」などと呼ばれるワインが注目されるようになっています。
「なんとなく体に良さそうなワインだな」というイメージはありますが、他のワインと何が違うのかよくわからないという方も多いはず。
そこで今回はビオワインについてご紹介していきます。
スーパーなどでも1000円前後から買えるビオワインの魅力をたっぷりとお伝えします。
目次
ビオワインとは?
ずらりと並ぶワインコーナーを前にどれを選ぼうか…なんて経験のある方も多いのではないでしょうか。カタカナばかりの長い名前をみてもなかなか好きなワインを見分けるのって難しいですよね。
そこで選ぶ基準の一つとなるのが「ビオワイン」というキーワード。まずはビオワインとはどんなワインなのかご説明します。
「ビオワイン」の語源
「BIO(ビオ)」という言葉の語源はフランス語。「biologique(ビオロジック)」を略してビオと呼んでいて、これは英語で「オーガニック」、日本語で「有機栽培」と同じ意味をもちます。つまり意味的には「ビオ=オーガニック=有機栽培」ということですね。
しかし「WINE(ワイン)」という言葉は英語。フランス語ではワインのことを「Vin(ヴァン)」といいます。「ビオワイン」という言葉は、フランス語と英語が組み合わさってできているのです。
日本で「ビオワイン」という言葉を耳にすることも多いですが、実は海外で「ビオワイン」と言っても伝わらないこともあるのだとか。一般的には、有機栽培でつくられたワインのことをヨーロッパでは「ヴァン・ナチュール」、アメリカでは「オーガニックワイン」と呼んでいます。
実は曖昧な定義
日本で「ビオワイン」という言葉は「できる限り自然な農法でつくられたワイン」「有機栽培で育てられたぶどうで造られたワイン」という意味合いで使われています。日本で生まれた造語であるため「ビオワイン」に明確な決まりや定義はありません。生産者が「これはビオワインだ」といえばそれはビオワインになるのですね。
ここでややこしいのが、国によって「オーガニック」「BIO」の認識がちょっとずつ違うこと。日本でオーガニックを名乗るためには、農林水産省が定める「有機JAS規格」という認証が必要なのですが、海外にもそれぞれの国や地域に同じような専門機関があり、ルールやチェック方法が異なります。
そのため日本で「ビオワイン」と名乗るのに特別な認証や審査は必要ありませんが、EUで「BIO」と名乗るためには専門機関の認証が必要となります。また生産者が認証にこだわっていない場合などには、実際にビオワインだとしても「ビオワイン」と表記のないものもあるのです。
ワインってたくさんの種類があって選ぶのが難しいですよね。醸造方法や原材料にこだわりたい人は、まず表記をチェックしてみるのがおすすめ。海外から輸入したビオワインであればしっかりと審査も通っているので安心です。生産者の思いやこだわりを大事にしたい人は、実際に飲んでみて好みのワインを見つけていくのもいいかもしれませんね。
ぶどうの栽培方法
「ビオワイン」「オーガニックワイン」などと呼ばれるワインは、ぶどうを育てる段階から農薬の量や種類に気をつけています。規定は国ごとにちょっとずつ違いますが、ここでは代表的な2つの栽培方法をご紹介します。
ビオロジック農法
「有機農法」ともいわれるこの農法は、科学的な除草剤や農薬、殺虫剤などは使用できません。基本的には無農薬でぶどうを育て、肥料として使えるのも鶏や牛などの動物のフンだけ。また遺伝子組み換えも禁止されています。
ただし、ぶどうはとても繊細な作物なので「ボルドー液」と呼ばれる伝統的な農薬だけは、例外として使うことが認められています。
EUの規定はさらに厳しく、有機農法を3年以上していないとビオロジック農法とは認められなかったり、保存料の審査などもあるようです。
ビオディナミ農法
「ビオロジック農法」をさらに一歩進めたイメージなのがこの「ビオディナミ農法」。基本的にはビオロジック農法と同じなのですが、占星術や天体の動きなども反映した栽培方法です。
オーストリアのルドルフ・シュタイナー博士が提唱したもので、たとえば月や星座の動きによって種まきの日取りを決める、肥料として使うのは牛のフンやたんぽぽなど自然素材由来のものだけと決められています。
ビオディナミ農法は、より自然に近い状態で育てなければいけないため手間も時間もかかります。こだわりをもった生産者たちは、自分の造りたいワインに少しでも近づけるために日々努力しているのですね。
オーガニックワインや自然派ワインとは何が違うの?
ビオワインと同じような意味で「オーガニックワイン」「自然派ワイン」などの呼び方もありますよね。どれも似たような雰囲気ですが、実はちょっとずつ違いがあるのです。
オーガニックワインとの違い
オーガニックワインとは、オーガニック農法で作られるぶどうを使ったワインのこと。ビオワインや自然派ワインとの大きな違いは、農林水産省が認める「JAS規格」という認証を得る必要があることです。
化学肥料や農薬を使わない、遺伝子操作を行わないなどの基本はビオワインと同じですが、さらに細かい基準をクリアすることがオーガニックワインの条件となります。
日本では「JAS規格」が基準となっていますが、海外にも同じような認証機関があるため、それぞれの国によって規定は少し異なります。いずれにしても厳しい審査を通ったワインだけが「オーガニック」と名乗ることができる点は同じですね。
EUであれば「Euro leaf(ユーロ・リーフ)」、フランスであれば「ECOCERT(エコサート)」アメリカであれば「USDAオーガニック」のロゴが目印となります。海外のオーガニックワインを探すときには、ぜひチェックしてみてくださいね。
自然派ワイン(ナチュールワイン)との違い
フランス語で「ヴァン・ナチュール」と呼ばれる自然派ワイン。日本では「ナチュールワイン」などと呼ばれることもあります。ビオワインと同じように自然派ワインも明確な定義がなく、認証機関の審査などもありません。
自然派ワインの特徴は、添加物を使わない、熱殺菌を行わないなど、ぶどうだけでなく醸造の過程も自然にこだわって作られたワインだということ。ぶどうをひとつずつ目でチェックして人の手で摘む、ぶどうがもつ天然酵母を利用する、環境のことを考えてワイン造りをするなど、基準はなくても極力自然に寄り添って造られるワインというイメージです。
「自然」の捉え方が人によって違うため一言で説明するのは難しいのですが、ワインを造る人の考え方が自然体であることなども含まれているそう。自然派ワインは造る人の個性や人柄がワインに出るともいわれていますよ。
ビオワインの味わいとは
ビオワインがどんなワインなのかだいぶ理解できたのではないでしょうか。そして気になるのはその味や香りですよね。人によって感じ方は違いますが、ここでは一般的にいわれているビオワインの特徴をご紹介します。
見た目
ビオワインは過剰な濾過(ろか)をせずに造られることが多いため、見た目が少しにごっていることがあります。
またビンの中に「澱(おり)」と呼ばれるワインの成分が浮いていることがあります。これはタンニンやポリフェノールなどが熟成中に結合したもので、体に害はないといわれています。一緒に飲むとえぐみを感じてしまうという人は、ワインをゆっくり注いだり、デキャンタと呼ばれるガラス容器に移し替えてから飲むといいですよ。
味わい
造り手の個性が味わいに出やすいのがビオワインの大きな特徴。できる限り自然な方法で造られるビオワイン、そのおいしさは作り手の豊富な知識と経験、努力があってこそなのです。
酸化防止剤をあまり使わないためワインが劣化しやすかったり、農薬を使わないためぶどうの出来が安定しなかったりと、おいしいビオワインを造るのは本当に大変なこと。そのため同じ値段のビオワインでもおいしいものもあれば口に合わないものがあるのも事実です。
ぶどう本来の味がしっかり感じられる、ワインを開けてからの変化を楽しめるのがビオワインの良さという声も。どんな造り手がどんなこだわりを持ってワインを造っているのかを調べることが、おいしいビオワインを見つけるコツかもしれませんね。
香り
ビオワインの香りは独特で、中にはちょっとクセの強い香りをもつものもあります。「ビオ臭」といわれることもあるのですが、「土っぽい、硫黄っぽい」と感じる人も。酸化防止剤を使っていなかったり、濾過(ろか)をしなかったりと、ビオワインならではの醸造方法をとるとどうしても酸化しやすくなってしまうため、このような香りがすることもあるのです。
ただし最近では造り手の努力もあり、この独特な香りがしないビオワインも増えているそう。わたし自身もワインが好きで普段からよく飲むのですが、オーガニックワインを飲んで「苦手な香りだな」と感じたことはほとんどありません。
もちろん人それぞれ感覚は違いますが、それもまたビオワインの面白さ。楽しみながらいろいろなビオワインを飲んでみてくださいね。
まとめ
造り手の想いがこもったビオワインは、全て個性があって同じものはないのですね。
知識がないとどうしても敷居の高いイメージがあるワインですが、実は気軽に飲むことができるお酒のひとつ。
味や香りの違いを楽しみながら、ぜひビオワインを飲んでみてはいかがでしょうか。
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