コスモス食品のマッドサイエンティストこと中田です。
タイ社会の光と影編。
今回もタイ国の山岳民族問題についてお話させていただきます。
「国境」と山岳民族の問題
タイコスモスがある「チェンライ県」は、隣にラオス・ミャンマーがある国境の県になります。
島国日本に住んでいる私達には馴染みのない「国境」という言葉。
この「国境」という人間が作った概念により古今東西どれだけ多くの命が失われてきたことか…
この「国境」と山岳民族の問題は密接に関わっております。
タイ国内の少数民族として山岳民族の方々がいることは先の記事でも記載しましたが、
それは隣国のラオス・ミャンマーでも同様です。
山岳の地域を自由に行き交い自然の恵みやその地域の特性と共存してきた山岳の人々にとっては人間の都合によって出来上がった「国境」という概念の方がむしろ不自然なものです。
ここからは、私の遭遇した人達のお話になります。
とある山岳の村での出会い
山岳地域の米や食材を調べている最中、ある山岳の村にたどり着きました。
丁度、山岳米の刈り入れ時に遭遇でき、初めて見る山岳米の収穫風景に、はやる気持ちを抑えきれずに、ずかずかと農地に入り込んで稲や穂の状態・土質をまじまじと観察していたら、作業をしていた若い男性が英語で話しかけてくれました。
話を聞くと、彼らは農地の日雇い労働者でミャンマーから2年前にタイに移住してきたそうです。
移住の理由はミャンマーの軍事クーデターによりアウンサンスーチーさんが政権追われ軍部が再度実権を握ったことで、民主化への弾圧に加えて少数民族の方々も弾圧の対象となったために、ここタイ北部に移住(とゆうよりは逃げてきたという方が正確です。)して来たという話です。
その方は英語で話しが出来ること、そして、私が日本人だとわかると「東京?それとも大阪?」と問われたことから、きちんとした教育と相当なインテリ層なのだということが分かりました。
そして、近くにで一生懸命に刈り入れ作業をしていた女性を指さし「私の妻です」と紹介してくれましたが、他の人とチョット様子が違う…。
少し違和感を持って見ていると「今、妊娠しています。」とにこやかに答えてくれましたが、驚きを隠すことが出来ません。
なぜなら、山岳米は険しい山の斜面を利用している場所でまともに歩くこともままならない程で、ちょっとでも気を緩めると谷底に転げ落ちてしまいそうな危険な場所。
そんな危険な場所での腰をかがめての長時間の労働。とても妊婦の方が従事することなど絶対に出来るものではありません。
だけど、そんな状況でも働かさる負えないような現状。
「妻とは難民キャンプで知り合いました。ここでの生活はいろいろ大変だけど、ここは命の危険にさらされることは無い。ここで家族(「family life」と表現されていました。)を持てるようにしたい。」とにこやかに話してくれました。
その他にも、山岳米のことやミャンマーのアカ族や政治的なことを話してくれました。
(ミャンマーの事はとてもセンシティブな内容なので、ここでは割愛しますが、アウンサンスーチーさんも日本の偏向報道のような正しいという側面だけではないこと等々)。
突然、たった一人で現れた得体の知れない日本人の私にとても気さくに素敵な笑顔で、いろんな話をしてくれ、体験作業までさせてくれた。
その笑顔と親切がとても素敵だったからこそ余計に痛々しかった。
山岳米を使用する事で、山岳民族の方々の生活のプラスになってほしい
報道は少なくなっていますがこうした今もミャンマーでは一部の人たちによって、弱い人たちが苦しめられる日々が続いている事を現実の問題としてまざまざと感じさせられました。
タイとミャンマーの隔たりは距離にすればわずかな距離ですし、人としての違いなど全くありません。ただ、この「国境」一つで命の危険に晒される人がそこに居るのです。
今、私は山岳米を使用したフリーズドライ製品の開発に着手しております。
私が山岳米にこだわるのは、山岳米が美味しくフリーズドライとの相性が良いことはもちろんですが、私達が使用する事で、こうした山岳民族の方々の生活のプラスになってほしいという思いを強く持っています。
タイで生まれる新しい命、それを支える「family life」。アカ族の彼の夢を叶えられるように、わずかではありますがフリーズドライを通じてその力になって行きたいと思っております。
これも私達コスモス食品の大切なミッションです。
つづく。
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