酵素玄米(寝かせる玄米)とは、玄米を小豆・塩と共に炊き、3日間ほど保温した玄米のことです。ダイエットをはじめ、血液サラサラ・デトックス・便秘解消・美肌・むくみ解消に効果があるとして、美容や健康意識の高い人たちからの注目を集めています。
この記事は酵素玄米の栄養価や味の特徴から、美味しくできる作り方や注意点まで網羅しています。酵素玄米が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
酵素玄米は「寝かせ玄米」と呼ばれることもありますが、寝かせ玄米は結わえる社の登録商標でもあることから、本記事では「酵素玄米=寝かせる玄米」と定義します。
酵素玄米(寝かせる玄米)のススメ
朝食など慌ただしく忙しいときはパンを食べる方も多いと思いますが、古くから私たち日本人が主食としてきたのは米。当然ながら日本人の体質にも合っており、消化も緩やかで腹もちもよくおすすめです。
精白した白米は、栄養価がそぎ落とされてしまっていてもったいない!だからと言って、玄米はパサパサしておいしくないですよね。そこでおすすめしたいのが「酵素玄米(寝かせる玄米)」です。酵素玄米(寝かせる玄米)は白米のようなもっちりさと、玄米の栄養価の両方を兼ね備えた万能選手。
この酵素玄米(寝かせる玄米)をおすすめする根拠を、次項から深堀りしていきましょう。
精白米と玄米の栄養素の比較
まずは精白米(白米)と玄米の栄養素がどれだけ違うのかを知っておきましょう。そもそも玄米とは、収穫した米から皮の部分である籾殻(もみがら)を取り除いた状態のものです。一般的に薄い茶色をしています。 白米はこの玄米からぬかや胚芽(はいが)を取り除いたものです。
精白の際に取り除かれてしまうぬかや胚芽の部分には、ビタミンB群・ミネラル・食物繊維といった栄養分が豊富に含まれています。当然ながら玄米は、白米と比較してこういった栄養素が取り除かれていない分、栄養価が高いです。
以下に、100gあたりの精白米と玄米の栄養素の違いをまとめました。
精白米 | 玄米 | |
---|---|---|
カロリー | 342kcal | 346kcal |
たんぱく質 | 6.1g | 6.8g |
炭水化物 | 77.6g | 74.3g |
脂質 | 0.9g | 2.7g |
食物繊維 | 0.5g | 3.0g |
カリウム | 89mg | 230mg |
カルシウム | 5mg | 9mg |
マグネシウム | 23mg | 110mg |
鉄 | 0.8mg | 2.1mg |
リン | 95mg | 290mg |
葉酸 | 12μg | 27μg |
ビタミンB群(B1・B2・B6・B12) | 0.22mg | 0.9mg |
参考:文部科学省 – 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
このように精白米と玄米では、カロリーこそ大きな差はありません。しかし、ビタミンB群や鉄分をはじめ、カリウム・マグネシウム・リンなどのミネラル、食物繊維などの含有量が高いことがわかります。ビタミンB群は糖の消化や代謝を促してくれる働きがある、大切な栄養素です。
酵素玄米(寝かせる玄米)と玄米の違い
では次に、酵素玄米(寝かせる玄米)と普通の玄米は何が違うのでしょうか。栄養価と味の2点に着目して解説していきます。
酵素玄米(寝かせる玄米)と玄米の違い①栄養価
冒頭で説明したように、酵素玄米(寝かせる玄米)は、玄米を小豆・塩と共に炊き、3日間ほど保温して作ります。普通の玄米と違う点は、小豆が入っているということです。
小豆にはカテキンやルチン・アントシアニン・イソフラボンなどのポリフェノールが豊富に含まれています。また、むくみ予防やデトックスに有効なカリウムも豊富で、乾燥あずき100g中にはカリウムが約1500mgも含まれています。
小豆自体に栄養素が豊富ですが、炊飯後に長時間保温を続けると、玄米の糖質が小豆の持つたんぱく質と化学反応を起こします。これは「メイラード反応」と呼ばれ、その結果「メラノイジン」という褐色成分が作られます。
メラノイジンは強い抗酸化作用を持っており、体の「サビ」の原因となる活性酸素を除去する効果が。さらに、血糖値を正常に保つ、血液をサラサラにするなどの働きがあると言われています。
「酵素が増える」はウソ?
ネット上では「炊いた玄米が酵素の働きにより柔らかくなり、栄養価も高くなる」旨の記述もよく見かけます。しかしこれらの科学的な根拠はありません。
なぜなら酵素は、酵素玄米(寝かせる玄米)作りに必要な70℃以上の保温状態では活性しないからです。したがって、酵素が増える・栄養価が増すということは考えにくいです。
酵素玄米(寝かせる玄米)が柔らかくなるのは酵素の働きではなく「熟成」によるものと考えられます。熟成とは、温度や湿度・時間などの要因でゆっくりと化学変化が起こることです。
酵素玄米(寝かせる玄米)と玄米の違い②味
玄米は栄養価が高く、体にいい食べ物というのは周知の事実ですよね。でも、玄米独特の香りやパサパサ感が苦手という方は多いでしょう。
酵素玄米(寝かせる玄米)は、玄米と精白米のいいとこ取りをしたお米です。酵素玄米は(寝かせる玄米)熟成しているので、普通の玄米よりも柔らかくもっちりとしています。
玄米と遜色ないどころかそれ以上の栄養価を享受でき、精白米に近いもちもちとした食感で満足感が高い優れもの。
健康のために白米から玄米に切り替えると挫折してしまう人も多いそうですが、酵素玄米(寝かせる玄米)なら続けられるかもしれませんよ。
【炊いたらほったらかすだけ】酵素玄米(寝かせる玄米)を作ってみよう
酵素玄米(寝かせる玄米)の魅力がお分かりいただけたところで、さっそく酵素玄米(寝かせる玄米)を作ってみましょう!
作り方は、何も難しいことはありません。基本的には玄米を炊いて3日間保温しておくだけと、とっても簡単です。
酵素玄米(寝かせる玄米)の材料
酵素玄米(寝かせる玄米)を作るのに必要な材料は、以下の4つです。
- 玄米…3合
- 小豆…30g
- 天然塩…5g
- 水…660ml前後(お好みで加減してください)
上記の4つに加え、70℃以上の保温ができる炊飯器を用意しましょう。
発芽玄米にすれば栄養価もさらにUP!
ここで玄米にひと手間加えて発芽玄米にすることで、さらに栄養価がアップします。
発芽させることで、玄米中の酵素が活性化します。睡眠の質向上やストレス軽減に役立つとされるGABA(ギャバ)が玄米の約3〜5倍に増えます。
玄米を発芽させるには、24時間以上水に浸たしましょう(目安:夏場は~24時間、冬場は~72時間)。
すると角(つの)のようなとがったものが出てきます。簡単ですが、特に夏場はこまめに水を変え、玄米を腐らせないよう注意してください。
酵素玄米(寝かせる玄米)の作り方
- まずは玄米と小豆をボールに入れて、ごみやほこりを水で流します。最初の水は吸収されやすいため、1回目の水はさっとすすぐ程度ですぐに捨ててください。3~4回繰り返し研いだら、半日から1日水に浸漬します。
【ポイント1:洗うときのコツ】
玄米どうしをこすりつけるように洗うと、玄米の表面に傷がついて水が浸透しやすくなります。ふっくら柔らかく炊き上がりますよ。泡立て器を使ってもOKです。
【ポイント2:発芽玄米にする場合は】
夏場は24時間、冬場は72時間程度浸漬させ、発芽するのを待ちましょう。発芽玄米にする際は、小豆とは混ぜずに別々で洗うようにすると準備が楽になります。
- 一度ザルにあげて水気を切ります。
- 炊飯器に移し、塩と水を入れて炊飯します。
- 炊き上がったらそのまま30分程度蒸らしましょう。
- 3日間保温の状態を続けます。空気に触れさせるため、1日に1回はかき混ぜましょう。
- 3~4日経てばできあがり。
4日以降も保温し続けることは可能(最大7~10日まで)ですが、乾燥で表面が硬くなってくるので長くても5日くらいでやめるのがおすすめです。食べきれない分は、冷凍庫で保存もできます。
日を追うごとにもっちり感がアップし、褐色度合いが濃くなっていきます。変化も楽しみつつ、酵素玄米(寝かせる玄米)ができあがるのを待ちましょう。
酵素玄米(寝かせる玄米)を作る際の注意点
酵素玄米(寝かせる玄米)は普通の炊飯器では作れません。酵素玄米(寝かせる玄米)を作るには70〜75℃くらいに保温する必要があります。
最近では酵素玄米(寝かせる玄米)の人気に伴い、酵素玄米(寝かせる玄米)が作れる機能が付帯した炊飯器も多く販売されています。酵素玄米(寝かせる玄米)を作りたい方は、こういったものを購入しましょう。
一般的な炊飯器は、3日間以上も保温し続けることを想定していません。普通の炊飯器の保温機能は数時間雑菌の繁殖を防ぎ、ご飯のおいしさ(品質)を保つのが目的です。酵素玄米(寝かせる玄米)を発酵させるには温度が低すぎるため、使えません。
一般的な炊飯器で炊きあがった酵素玄米(寝かせる玄米)を保温し続けると、雑菌が繁殖し食中毒のリスクが高まります。普通の炊飯器でも作れるようなレシピも出回っていますが、絶対にやめましょう。
まとめ
できあがるまでに少し時間はかかりますが、一口ほおばるとそのおいしさに驚きますよ。まるでもち米さながらの食べ応えがあるので、腹もちもよく、食べすぎを防いでくれそうです。パサパサ玄米からは想像できないおいしさに、病みつきになること間違いなしです。
酵素玄米(寝かせる玄米)は、和食はもちろん、中華や洋食、そして意外にもカレーとの相性も抜群で、白ご飯と同じように使えます。
玄米の栄養価はそのままに、おいしさと健康が一度に手に入る酵素玄米(寝かせる玄米)。ぜひ作ってみてくださいね。
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