山岳からの挑戦(その1)
コスモス食品のマッドサイエンティストこと中田です。
今回の出張の大きな目的の一つにフリーズドライに最適な米の研究があります。
タイに入国時から各メーカーのブランド米や各地区の銘柄米を出来る限り入手し食べ比べて見たのですが、それぞれの違いや美味しい米は分かるのですが中々理想的な米を見つけ出すことはできませんでした。
それどころか、タイの米の特長は系統化されていて自分がイメージしている物に近づいている糸口にも近づけていない五里霧中の状態で、途方にくれてしまいそうでした。
そんな中、アカ族というタイの山岳民族のアリヤさんと出会う機会がありました。
山岳民族の子供達の支援を行うアリヤさん
このアリヤさんは山岳民族の子供達の支援を行っている社会活動家の方です。
ここで、少しだけアリヤさんの活動内容とタイ社会の一旦を説明させていただきたいと思います。
タイの北部はタイ・ラオス・ミャンマーの三つの国が交わる「黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)」と呼ばれる地域で、かつては世界最大の麻薬の密造地域でしたここが麻薬の密造地域になったのは第二次世界大戦後の中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)とのいざこざと独立意識の高い山岳民族の気質に起因しています。
ここにクン・サーという麻薬王が君臨し、山岳の人たちに富と産業を与える目的で麻薬の原料となるケシ栽培が急激に広まっていきました。
現在は、タイ政府の取り締まり強化と代わりになるコーヒー栽培等の推奨により、タイ側でのケシ栽培は急激に減少しておりますが、昔からの習慣をすぐに完全に消滅させることは出来ず、そんな産業に携わる人は現実的におります。
家族でそんな産業に関わり逮捕されたり、亡くなったりして身寄りのなくなった子供達を保護し、学校・寮を運営しているのがアリヤさんになります。
すばらしい活動で頭が下がる思いです。
アリヤさんの学校を訪れた時に、施設内の一部で米を干しているのを目にして思わず、今、米のことで困っていることやタイの米の事・日本の米の事等々、思っている事を話始めました。
うんうんと静かに聞いていたアリヤさんでしたが、ふと、思い出したかのように「それなら、山岳民族が昔から食べている山岳米を使ってみてはどうですが?」と話してくれました。
続けて「山岳米はタイ米の系統と日本米の系統とも違う物で、タイのマーケットではほとんど流通していない米です。一度試してみてはどうですか?」
おおーー。渡りに船とはこのことです。
後日、サンプル用に2kgの山岳米を準備して頂き、テストの開始です。さあ。どうなるか?まだまだ続きます。
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