コスモス食品のマッドサイエンティストこと中田です。
タイコスモスには「NATURE FUTURE FARM」と呼ばれる自営の有機農場があります。
工場で使用される野菜類はもちろんですが、この地の環境での生産適正を確認するためのさまざまな野菜・果実類もテスト栽培を実施しております。
その中で、面白い物としてチョコレートの基となるカカオの木も栽培しております。
カカオの歴史は古く、所説はありますが紀元前1900年頃には食用として栽培されていたとされています。また、カカオを使用したチョコレートは、食品の中で最も加工工程が多い食品でもあります。そんなチョコレートは実はれっきとした醗酵食品の一つでもあります。
今回、栽培を始めてようやく形の良いカカオの実が出来てきましたの、一次工程でもある醗酵・天日干しまでを実施いたしました。
黄色に実ったカカオ豆を収穫
ラグビーボールのような形と大きさで持つとややずっしりとしております。
そこから、真っ白なカカオの豆をとり出します。
この白さはカカオパルプと呼ばれるカカオの果実になります。
食べてみると調度ライチとマンゴスチンをあわせたような清涼感のある酸味と甘さで、
「カカオって、フルーツなんだなー」って改めて感じました。
このカカオパルプ今でこそ日本でも食べられ始めましたが、もともと量が少なく、醗酵の栄養成分となるので、現地でしか食べられないものです。
カカオ豆の加工
この、真っ白なカオオ豆をバナナの葉に包んで一次醗酵させていきます。
このバナナの葉を利用するのが、ポイントでバナナの葉の裏側は真っ白になっておりますが、これは醗酵に必要な酵母や乳酸菌等々の自然界の細菌になります。
この細菌類とカカオパルプの糖分が合わさってアルコール醗酵されていきます。
数日たつとワインのようなフルーティーな強い香りがしてきます。
その後は、二次醗酵で毎日攪拌して空気を入れて醗酵を促進させていきます。
攪拌しているとぬか漬けのぬか床の菌を安定させている時の気持ちとなんとなくリンクしてきます。これも数日つづけると真っ白だったカカオ豆が茶色に変色してきます。種を割ってみると中心部まで網目状に茶色い筋ができております。
ここで、二次醗酵終了し、天日干しに移行です。
天日干しは名前の通り干して乾燥させることではありますが、実はここでも、醗酵はじわじわと進んでいるのです。数日かけて乾燥が終了すると真っ黒に変色したカカオ豆の出来上がり。
文章ではすんなり書いておりますが、実は思っていたよりも気温が低く、また朝方は非常に湿気が高かったので、状態を確認しながらこまごまとした修正は行っておりました。
こうしたことで、醗酵食品とは植物と細菌と人間との対話であり、良い物を作ってゆく共同作業なんだなとつくづく感じられます。
肝心の味の方はというと、苦みと酸味のバランスが良く、タイ人スタッフにも好評でした。
今は、栽培状況を見守りながら、「「NATURE FUTURE FARM」発の良質のカカオが皆様のもとにお届け出来るようにゆっくりと確実に進めてまいります。
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