コスモス食品のマッドサイエンティストこと中田です。
山岳米のお話しの3回目です。
2022年1月の某日アリヤさんに山岳米の産地に案内して頂きました。
チェンライ市内から車で約1時間半、山岳の道なき道を進む。
途中何度も「ここ道?」「なんて坂道だーー。」「水浸しで道が無くなっとるやないか!」とツッコミを入れつつ、這う這うの体で目的地であるパサーン村に到着。
山頂付近の場所で険しい斜面ばっかり、お世辞にも立派とは言えない数軒の家のとある一軒にアリヤさんが声をかける。
家の中から小さな女の子が出てきた。名前はステュービーハーちゃん。
笑顔がとっても可愛らしい。アリヤさんと彼女は何やら話しているが普通のタイ語ではない。アカ族の言葉らしい。ここら辺の人たちはタイ語とアカ族の言葉両方使うらしい。
米蔵に案内され依頼分の米(玄米30kg・精米30kg)を購入。
山岳の斜面で米を育てる『オカボ』とは
それから、農地に案内とのことだがここら辺は坂道ばかり別の場所に移動するのかと思いきや、急な坂道を指さし「ここら辺だよ」とのこと。
「えっ?えっ?」一瞬言っている意味が分からなかった。
ここは『オカボ』という栽培方法で、山岳の斜面に直接苗を植えて行き、雨季の雨を利用して米を栽培してゆく方法です。
米と言うと『水田』のイメージしか無かったので、こうゆう山岳地域では棚田が作られているのを想像していたので全く予想外でした。
「ジャバニカ米」は水田が作られないような厳しい地域でも成長しやすく環境に強い米で、そこに加えてタイのような雨季と乾季の気候変化に適した米のようです。
日本でもずいぶん昔に東北より以南の山あいの地域で実施されていたそうですが、生産効率の悪さと農業技術の発展の中で、今ではすっかり見られなくなりました。
厳しい環境と過酷な境遇の中で「生きてゆくために」紡ぎ工夫していった米
このジャバニカ米にまつわるお話ですが、中国の雲南省から続くアジアの山岳地域に住む山岳民族の方はキリスト教を信仰しているのがほとんどです。
中国共産党は宗教の自由を認めておらずまた、漢民族が中心のため山岳民族の方は中国から追い出され、ここらの地域に逃げてきました。
ただし、タイでも居心地が決して良いわけでなくタイ本土の人たちからは「チャオ・カオ」と蔑称で呼ばれ、数年前までは住所や移動・職業の制限が課されていたそうです。
以前の記事で麻薬の密造について触れましたが、その原因はこうゆうところにもあります。
その山岳民族の方々が厳しい環境と過酷な境遇の中で「生きてゆくために」紡ぎ工夫していったのがこの米だったのです。
誰にも注目されていなかった米、だけど、生きてゆくためにこの米を大切守ってきた人達。
こんな思いをフリーズドライの技術で日の目をみせることができれば・・・。
現地を見なければ実感出来なかった貴重な体験です。
米の話は、まだまだ続きます。
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